ストレス疲労の鍼灸治療

ストレス疲労の鍼灸治療

ストレスとは(東洋医学的考え方) – 原因

 ストレスとは、精神的疲労であり、いやなことがまんする、つまり怒りやイライラをがまんすることや
心配すること、悲しむことなどもストレスになります。

 

 古くから東洋医学(漢方)では、「怒」、「喜」、「思」、「憂」、「恐」などの感情は五臓と深く関係していると考えられてきました。
鍼灸ナビ五行説の表をご覧下さい。
 五志という項目を縦に見ていくと、「怒」「喜」「思」「憂」「恐」とあります。
 そして「怒」を横に見ていくと「肝」とあります。つまり横の緑色の項目は全て「肝」の性質にぞくするもので
怒りをがまんする(いやなことをがまんする)は肝の元気であり
怒りすぎると肝の元気がよわくなってしまうということです。

 

 思う(心配)、憂(悲しむ)というストレスもありますが、通常のストレスというのは
「怒」(いやなことをがまんする)の「肝」の症状が多くみうけられます。

ストレスによる症状

 ストレスは様々な症状となって身体にあらわれます。

 先に述べた肝に関する症状では、慢性疲労(筋疲労、肩こり、背部痛、腰痛、まぶたの痙攣、ふくらはぎの痙攣、)
頭痛、のぼせ、めまい、不眠、足ひえ、五十肩、神経痛、眼精疲労、緑内障、高血圧、
精神の不安定(イライラ)更年期障害頻尿などの泌尿器疾患、食欲不振などの胃腸障害、
円形脱毛症などがストレスによるものです。

ストレス疲労の治療法 ツボ

 ここまで話をすれば、治療のポイントはおわかりとおもいますが、五臓六腑のうちの、「肝」の元気を高めてあげることです。

 一般に肝臓の働きとして、

1 代謝作用(糖、タンパク、脂質、ビタミン、ホルモンなど)

2 胆汁の生成分泌

3 解毒作用—体内に残った毒、つまり筋肉にたまった疲労物質やアルコール、体内に残った薬などの解毒は肝臓でおこなう

4 血液量の調節

 これ以外にも肝臓でおこなう仕事はたくさんありますが、漢方ではストレス(怒り イライラ いやなこと)を
がまんするのは「肝」の仕事です。

 先の五行説の緑の列に「肝」と「筋」とがあります、筋肉の元気は肝臓から出ているということです。
つまり筋肉のケイレンは肝臓を元気にしないと止まらないということ、
筋の疲労は肝を元気にしなければいけないということです。

 では、具体的に「肝」を元気にする方法は、まず両足の母指先から下肢の内側を通りそれぞれ左右の肋骨の下まで、肝の気が流れる道(経絡)があるのですが、
この経絡の気が左右どちらかが必ず弱くなっているので、この気の流れを回復させてあげることです。
(気の強弱の判断や使用するツボをえらぶのは高度なセンスと知識が必要)

 経絡上の気の流れが回復すれば、肝臓の元気も回復してくれます。

 この元気が、自然治癒力なのです。
この経絡の治療だけでも症状はかなり改善されますが、さらに背部にある「肝兪」(肝を治すという意味)
というツボを使ったり、また同時にそれぞれの症状に対する治療もおこないます。

 

 この様にして「肝」を丈夫にしてあげれば、おのずとストレスに対する抵抗力が高まり、良い体調を保つことが出来るのです。

ストレス疲労の注意事項とまとめ

 ストレスのある人は、アルコールでストレスを解消しようとしがちですが
アルコールは肝臓によけいな仕事をさせるばかりで、決して体調に好影響をもたらすとは限りません。
飲むとしても毎日ではなく、必ず休肝日をつくり肝臓を休ませることが大切です。

 

 ちょっとだから薬だと言って毎日飲まれる人が おりますが、これが一番いけません。
アルコールが薬になるのは薬一粒ぶんの量だと考えてください、それ以上は毒のほうが強くなります。

 

 適度の運動は良いが、やりすぎは肝臓に負担をかけてしまいます。
これらには十分注意してください

かめイラスト
おだいじにどうぞ

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